投稿者: karib_sotai

  • あなたに操体・操体法をお薦めする理由⑦

     最終日は、進化した操体の 「遠隔治療」 について述べてみる。 

     

     操体の創始者、橋本敬三医師がある地方に招かれて、雑談の中で言われたことは、「治療師や医者は、腕が上がるほど手数が減る」 という名言だった。 つまり、腕のいい医者や治療家になるほど、やることが少なくなり、あれやこれやとゴチャゴチャやったりしないのである。 

     

     これはどういう事かというと、最新の医療では、あれだけ大げさな設備や器具やダビンチのようなAIロボットまで使って、色々とやっている西洋医学に比べて、長さ5㎝、太さ0.1㎜のステンレスの鍼一本で病気を治している鍼灸とどちらが上なのだろう? その鍼も始めはたくさん打っているが、慣れてくると、だんだん減ってきて終には一本だけになって、さらに、それも打たなくなってしまう。 

     

     指圧であっても強く押える必要はなく、軽く触れるだけで事足りるようになる。 そしてやるところもだんだん減っていき、最終的には触らなくてもいいようになる。 直接触れることなく、1㎝離し、5㎝離し、1m、100m、1㎞、100㎞、1万㎞、100万㎞、1億㎞、10光年離れても治療効果は全く変わらないということになる。 これぞまさしく遠隔治療と呼べるものだ。

     

     このような遠隔治療の原点は東洋医学にあることが、お分かりいただけたものと思う。 こういった東洋医学には 「無経無穴」 という言葉がある。 無経とは経がない、「経絡」 の経が無いということで、どの経を使おうが、そんなものは関係ない。 そして、「無穴」 の穴は 「経穴」 の穴で 「つぼ」 の事である。 これはもう無茶苦茶な医療哲学だと思われるかも知れない。 

     

     「経絡」 というのは、きちっと何経という経路があり、またどの 「経穴」 という 「つぼ」 があって、それらにはすべてその作用がある。 治療家はそれに合わせて治療しないといけないことになっている。 しかし、それを否定したかのように、最終的には、「無経無穴」 になるという。 橋本敬三医師の言われた名言の延長線上に、この 「無経無穴」 の理論があるものと思う。

     

     さて、この遠隔治療と操体との関係であるが、操体は東洋医学というよりも 「日本医学」 と呼ばれている。 東洋医学の影響を受けて派生したと思われる操体では、治療家によって同じ経絡を使っても考え方も違っており、同じ患者さんに対しても、「一人一派」 という医療哲学がある。 となれば、「無経無穴」 であっても、ぴったりとフィットするのではないだろうか。

     

     橋本敬三医師の高弟であった三浦寛師は、こういった操体哲学をより進歩させた。 三浦寛師の臨床を観察していると、患者さんに触れずして、あるいは離れていても、からだの中の痛いところとか、悪いところが全部手に取るように分かっているのである。 たとえば、第二腰椎のあたりが痛いから、この人は腎臓が悪くて椎間板ヘルニアになっているというのが分かっている。 

     

     第二腰椎というのは、腎臓を受け持っている脊椎なので、その部分が痛いとなれば、腎臓が悪いというのが理解できる。 しかし、何故そのようなことが、患者さんに触れずして、また離れていても分かるのであろうか、不思議に思われるかもしれない。 この遠隔治療について、進化した操体では 「呼吸」 と 「意識」 をコントロールすることによって、エナジーフィールドを生まれさせ、そしてそのフィールドは身体構造を変えることができる、というものである。

     

     遠隔治療における呼吸は、「呼吸の営みに意識を介在させる」 ことによって、人間ひとりひとりの肉体・精神・感情・魂にたいへん大きな利益がもたされるというものなのだ。 そのような呼吸は、目に見えない循環系を動かしている生体メカニズムであり、生体エネルギーが質量に変化し、質量が生体エネルギーに変化するのを意識によってコントロールすることができる。 

     

     このような「呼吸の営みに意識を介在させる」ことは、肉体・精神・魂・環境の接点で流動的インターフェイスの役割を果たしているものと言える。 そして感情はエネルギー的なバランスをとるために生じ、上手く対応してくれる。

      

    明日からは香さんです。

  • あなたに操体・操体法をお薦めする理由 ⑥

     6日目は 「想」、精神活動について述べてみる。

     

     精神とは 「心構え」 のことであると先に述べた。 その心の乱れが肉体に影響を及ぼし、病気を呼ぶことになる。 自分勝手に、自分本位にものごとを考えていると、「我執」 が強く、いつもイライラ、クヨクヨ、ハラハラするということになって、感情が波立てば当然頭に血が昇っていく。 するとその反動で足もとが冷えて血管が縮んでしまい、血循不全になってくる。 つまり、「頭熱足寒」 に陥る。 

     

     また心が歪んでくると、足もとを冷やしたくなってくるので、「頭熱足寒」 が必然的に発生し、自然治癒力が損なわれ、感覚も狂ったうえに健康のために良くないことが好きになってくる。 その心の乱れ方によって、どの内臓が主に病むのかといったことも違ってくる。 我執は大きく分けて 「傲慢」「冷酷」「利己」「強欲」 の四つの分類があり、それぞれに対応する内臓が決まっている。

     

     まず 「傲慢」 とは、いばり返っているということで、「人を見下したり」、「見栄を張ったり」、また 「恥ずかしい」 と言ったりすることも含まれる。 卑屈というのも傲慢の裏返しであり、表裏一体の関係にある。 傲慢な心構えだと、肝臓、胆のう系統の血管がよく縮んで、その部分の病気になりやすい。

     

     次に 「冷酷」 は、冷たい性格で、自分の都合しか考えなくて、他人に対する思いやりがない、そのような心構えをもっていると、心臓、血管系統が悪くなりやすい。 たとえば心臓の病気の中で、心筋に異常がある場合、よほど重症にならないと心電図などには出てこない。 しかし、心筋異常では、まず結石になって出てくるということを理解しなければならない。 分子生化学の研究において言われていることは、筋肉に異常があるのは、カルシウムイオンの代謝異常が原因で、心筋内でうまくカルシウムイオンが働かないことで、腎臓や尿管や唾液腺に結石ができてしまうそうである。 だから結石をとってもまた出てくるということになる。 根本的に心臓が悪いのだということの理解と、他人に対して冷酷になっていないか、自分自身を良く反省する必要がある。

     

     その次の 「利己」 というのは、わが身の安心、安全、安楽だけを求めることである。 これは、安楽でいたい、働きたくない、という、つまり、怠け者になることだ。 この場合、少しでも空腹になると、すぐ 「ひもじい」 と感じてしまい、すぐ食べることになる。 だから利己の心構えを持つと、食べ過ぎになりやすく、そのために消化器を悪くしやすいのである。 もちろん、食べ過ぎで肥満にもなり、それを解消するためにフィットネスに励むことになるが、結局これも利己的に、自分のためにやるので、その効果はあまり期待できないことが多い。 これも利己主義になっていないか、よく反省する必要がある。

     

     そして、最後の 「強欲」 は、欲が深いこと。 金品を貯めたがるだけでなく、自分の努力や能力以上のものを欲しがることも強欲になる。 この場合、肺と大腸が悪くなりやすいが、粘膜や皮膚も肺のうちに含まれるので、皮膚病や潰瘍性の病気も肺の病気に入る。 強欲だと、大腸が大便までも出すのを嫌がって便秘になりやすいだけでなく、肺が病毒を出したがらないので、喘息にもなってしまう。 欲深くなっていないか自身でよく検証する必要がある。

     

     上記四つの我執のどれかが、ある水準以上にひどくなると、腎臓や膀胱が病んでくる。 さらにひどくなると、からだのどこかに腫瘍が発生することになる。

  • あなたに操体・操体法をお薦めする理由⑤

     5日目は 「動」、身体運動について述べる。

     

     身体運動というのは、安定した姿勢で立ったり、坐ったり、歩いたりすることであり、この運動することについての操体的理解を深めていきたい。 

     

     身体の運動は筋肉の伸縮によって行われるものではあるが、その動きが安定性を欠くと、「筋力に頼りすぎて滑らかに動けないのか」、それとも 「ただ単に筋力が弱ったから滑らかに動けないのか」、そういった筋肉と動作の関係について根本的に考察する必要がある。

     

     自然な身体運動は、重心移動を滑らかにすることで安定した動きになる。 ではその重心移動を滑らかにするのは、「自然なからだの使い方、動かし方」 が重要なキーポイントであり、骨格を支えている筋肉が関節を動かし、姿勢を変化させて重心の位置をうまく移動させているのである。 そしてこの重心位置の移動が滑らかになったことで、快適な運動・動作が起こってくる。

     

     快適で自然な身体運動において、筋肉の働きはほんの僅かで足りるということを特筆しておきたい。 何十キロの体重を移動させるパワーは必要としないのである。 ところが筋肉だけに頼った動きだと、重心移動を始めるのに大きな筋力が必要とされる。 そして大きな筋力を出すための犠牲が骨格を歪めてしまうことになって、肩凝りや腰痛、膝痛などの症状まで作りだすことになる。

     

     初日に述べた通り、ボディの歪みは健康に大きな影響を及ぼすことになる。 骨格が歪めば、姿勢が崩れてくるので、筋肉を固めることによって姿勢の崩れを防ごうとする。 しかし、加齢とともに筋力が衰えてくるのは必至で、ついに姿勢は崩れてしまうことになる。 が、それだけでは済まされない。 その崩れた姿勢を維持するのに、またしても筋肉を固めることになり、最終的には背骨から出入りしている自律神経を圧迫して、さまざまな症状、疾患に陥ることになる。

     

     操体では身体運動についての法則がある。 それはからだの使い方・動かし方の法則のことである。 まずからだの使い方である重心安定の法則について、立位でいう自然体とは、両足は肩幅にしてつま先と踵は平行、膝の力を緩め、背筋を軽く伸ばし、目は正面に向けることで、重心は足の拇趾のつけ根にくる。 次にからだの動かし方である重心移動の法則では、手は小指、足は拇趾において運動力点、運動作用点とする。 これらの条件が揃えば、からだの末端から動きを起こすことで、全身が連動して動いてくることになり、これを連動の法則という。 そして連動してくる一番大きな動きに目線をつけることにより意識をより意識づけることが目線の相関性である。

     

     操体でいう身体運動というのは、行住坐臥、つまり日常生活の中での振る舞いのことであり、からだをこまめに使って、家の中を拭いたり、掃いたりして自らからだを動かすというような意味である。 同じようにからだを動かしても、号令をかけられてやるようなエアロビクスなどは、動かされているのであって、自ら動いているのではない。

     

     このような身体運動において、「関節筋肉」 という部位は、動かすことで体毒がよく出る。 最もよく毒の出る関節は、足首の関節であり、その次によく毒が出るのは、の関節になる。 顎関節をよく使うというのは、食べ物をよく噛むことで、消化によく、食中毒にならないと言うだけでなく、食べる量も少なくてすむので、食べ過ぎを防ぐことができる。 つまり、ダイエットだけにとどまらず、からだに溜まった毒もよく出るということだ。

     

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    テーマ「操体法クロニクルズ2~呼吸とセルフケア特選~(仮)」

  • あなたに操体・操体法をお薦めする理由 ④

     4日目は 「食」、飲食について述べる。

     

     飲食の目的は二つある。 肉体の組織をつくることと、活動エネルギーをつくることにある。 蛋白質と脂質は肉体組織をつくり、糖質と脂質は活動するための熱量をつくってくれる。 それからビタミン、ミネラル、酵素などは、蛋白資、脂質、糖質等の食物を肉体組織に変える媒体の役目をしている。

     

     卵白の脂肪のようなものは例外として、本来、食物はすべてこれらの三大栄養素(蛋白質・脂質・糖質)をたずさえている。 ということは普通の飲食で三大栄養素は補給されることになる。 しかし、人間は食物を加熱調理して火食することになるから、ビタミン、ミネラル、酵素を壊してしまうことになり、食物をうまく肉体組織化できないので病気になりやすい。 ところがどうだろう、野生動物たちには医学知識も栄養学もないのに、病気にもならず天寿を全うしている。

     

     栄養というのは、摂ればいいというものではない。 食べないで栄養失調になる人よりも、さほど食欲がないのに食べ過ぎて病気になる人の方がはるかに多い。 食欲がないというのは、生理機能が 「食べるな!」 と言っている。 そのからだの声にしたがって食べないでいれば、血液が早く清まって、内部疾患、外部疾患に拘わらず病患部がきれいに洗い流されていく。

     

     我々はみなからだの状態が違っている。 野菜だけで健康を維持できる人もあれば、蛋白質類を摂らないと活力がなくなる人もいる。 また昨日と今日の体調も違っており、そのような変化に適応した栄養を摂らなければならない。 栄養には、個人差とともに時間差があることを理解していないと、栄養学の知識を豊富に持っていても、栄養失調になりかねない。

     

     その個人差、時間差を的確に知るには、尋常の栄養学ではとても間に合わない。 笑いこけた後には肉を摂る、読書した後はもっと肉を摂る、泣いた後には野菜を摂る、スポーツした後はもっと野菜を摂取しなければならない。 またハトムギをたくさん食べていると、皮膚病にならないことや、ネバネバしたものを多く摂っていると伝染病に罹らないといったような、人類何千年の尊い体験を積み重ねてきた 「体験に基づいた栄養学」 を学ぶ必要がある。

     

     もう一つ学ばなければならない栄養学がある。 それは 「本能に基づいた栄養学」 である。 野生動物たちは科学もカロリー栄養学も何も持っていない、しかし栄養状態はすこぶる良好である。 野生動物たちは何を食べてはならないのか、何を食べたら良いのかが身についているのだ。 食欲のまま、自然のまま、本能のままに食していればこその恩恵であろうと思う。 我々人間も野生動物たちと同じように、いのちある動植物を食している。 我々の命をつないでくれるために、食卓までやって来てくれたことに感謝しながら、「いただきます」 と手を合わせて食したいものだ。

     

     「腹八分目、医者いらず」 という格言をよく聞くが、これは食べ過ぎに対する戒めである。 食べ過ぎかどうかを調べる一つの方法は、朝目覚めた時に手を握ってみることだ。 もし脹れぼったく感じたら食べ過ぎていると思って間違いない。 食べ過ぎると、腸からくる自家中毒を起こすことになるが、今や医薬もその一つに加わってきた。 そればかりではない、スーパーなどで購入した、我々が口にする日常的な食べ物には、農業毒、工業毒、商業毒などの毒薬が盛られているので、十分警戒しなければならない。

     

     また排便についても、良い便は臭くないが、食べ過ぎると、便が臭くなるのは、腸内に悪玉菌が増えて、毒を製造しているからだ。 腸の調子は、排便の調子でも知ることができる。 排便時にトイレットペーパーを使わなければならないようでは健康な便とは言えない。 身近にいる犬や猫が排便時にお尻を紙で拭いているのを見たことはないはずだ。 それでもきれいにお尻は光っている。 健康な腸であれば、整腸作用が働いて、便が適度に固まり、よい具合に滑油が表面について、排便痕跡も残さず出ていくものである。 食をいただく時には 「いただきます!」 と言って手を合わすが、排便時においても大便に向かって手を合わせ、「出てくれてありがとう!」 と感謝の気持ちが欲しいものである。

     

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  • あなたに操体・操体法をお薦めする理由③

     3日目からは、四つの自己責任である 「息・食・動・想」 のそれぞれについての理解を深めてゆくことにする。 この内、 「息」、呼吸について今日は述べてみようと思う。 

     

     呼吸の目的の一つが酸素である。 心臓から出発した動脈血が、500兆もの細胞に、酸素と栄養を与えきった後、静脈に入って心臓に戻ってくる。 出たときの血と、戻ってきたときの血の色は、僅か22秒しか経ってないのに、一目瞭然、汚れきった色に一変している。 

     

     からだの健康維持のために、静脈の血が悪戦苦闘して、見るも無残な姿をして戻って来たのを知れば、ねんごろに呼吸をして迎えてやらねばならないと思う。 あらゆる癌は、酸素の欠乏が原因であるのに、その真因を問わずに、オペだ! レーザーだ! 抗癌剤だ! といって医療に駆け込むことは、決して真の健康につながるものではない。

     

     心臓が悪いのも、血圧が高いのも、神経痛や筋肉痛も、素因はみな酸素の欠乏であり、呼吸が直接に関係している。 そのような呼吸の働きは血の質を良くするだけでなく、血の巡りにも関与しており、血の質と血の巡りという二つの相乗性が、呼吸を価値あるものに高めてくれる。

     

     その価値ある呼吸の基本は、「長息・止息・腹息・吐息」 である。 まず 「長息」 から始めたい。 息を吸って肺に入る空気は呼吸気管を経て、ついに7億を数える肺胞にまで至るが、そこまで空気が達しなければ、汚れた静脈血を清めていくことはできない。 そのためには、その空気を到達させる時間が必要となり、その時間が長息なのである。 ゆっくりと十分に吸い、またゆっくりと十分に吐いていくというのは、肺の器官が保護されるばかりでなく、酸素と炭酸ガスの交換がきちんと行われることになる。 ゆえに長くて深い呼吸の必要性がそこにある。

     

     次に 「止息」 であるが、我々は一日のうちで何度も無意識的に息を止めている。 何かを注視して見ようとするとき、誰でも自然に息を止めている。 なぜなら注意力が高まるからであり、重いものを持ち上げようとするときにも息を止めるのは、筋力がより一層強まるからである。 吸息によって十分肺が膨らんだ時に、その息を止めることで畏縮しがちな肺胞が、これによって十分拡張することを覚え、肺活量が増し、酸素の吸収力も上がってくる。

     

     その次は 「腹息」、すなわち腹式呼吸である。 我々人類は背骨を立てた直立二足歩行で移動し、頭脳を使って生活を営んでいることから、どうしても腹式呼吸が必要となる。 何故なら、直立二足歩行することで、腹部に血が滞りやすくなるからだ。 四足歩行動物なら背骨を横にして歩くのでこの心配はない。 しかし人類は頭脳を使うので重心が上に上がってしまい、心もからだも不安定になる。 

     

     重心が上に上がることで、肩に力がこもり、本来あるべき腹式呼吸が、肩式呼吸になってしまう。 すると、腹部に血が集まり過ぎて、その血が渋滞することになる。 そこで腹式呼吸をすることによって、腹圧をつくり、血の渋滞は解消され、血循をつくることができる。 それは同時に腹に力が入るということで、人間の心の重心である下丹田も安定し、明朗な感情と、機敏な動作を創造することができるようになる。

     

     そして、呼吸の最後は 「吐息」 について説明する。 本来、「呼息」 という語を 「吐息」 と表現したのは、仏伝文学からきた用語で、「吐」 の文字は、嘔吐に使う吐であり、邪物を吐くという意味が含まれる。 仏道の源流であるウパニシャッド思想によく似合っているので、あえてこの 「吐息」 という用語を使うことにする。 

     

     息を吐くと、全身の筋肉がたちまち緩んでくる。 筋肉に付着していた凝りが、呼息によって吐き出されたから吐息という。 病気の素因はみな筋肉の凝りにあるので、それが吐息によって消えていくとすれば、「邪気である毒を吐き出した」 といっても差し支えはないと思う。

     

     心の状態と呼吸の形は、まったく同じものであり、筋肉が緩めば、必ず心も寛いでくる。 本格的な吸息は素人にはやや難しいが、息を吐くことはやさしいので、その吐く息に乗じて十分に吐くことによって、凝っている筋肉が緩んでくる。 その筋肉が緩んでくれば、心の過剰緊張もとれてしまうので、意識ある吐息というのは、心身両面にわたっての相乗効果が期待できるものである。

     

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  • あなたに操体・操体法をお薦めする理由②

     2日目は、広義の意味での 「操体」 をお薦めする理由について続けていく。

     

     我々が健康状態を維持していくためには、他人に代わってもらえない自己責任の活動として少なくとも四つあると、橋本敬三医師は言っている。 それが、呼吸飲食身体運動精神活動 (息・食・動・想である。 

     

     操体は健康について、身心相乗の原理の立場をとっているが、その相乗の原理を、日常生活に応用したものが、息・食・動・想である。 病気の原因は、「血液の質の低下」「血液循環の停滞」 にある。 だから、血液の質を上げて、その血液の循環をつけることで健康が確保できることになる。

     

     呼吸が浅く、飲食が乱れると、血の質が落ち、血液が粘りついて血液循環も悪くなる。 また皮膚が弱く、姿勢が歪んでも、血液循環が悪くなる。 それらはみな血液が腐敗するからである。 その血液に生野菜のようなアルカリ性が加わると、粘った血がたちまちサラサラとした良い血に生まれ変わる。 

     

     これから分かることは、血液を清めようとするならば、呼吸と飲食との二つを揃えていかなければならないということ。 この二つは相乗効果によって働いているのである。 どんなに素晴らしい呼吸法を習得したところで、飲食が乱れていれば、血はきれいにならないし、またどんなに飲食に気を配ったところで、呼吸をおろそかにしていては、血はきれいにならない。 つまりこの二つを同時に実行することで、どんなに濁った血でも必ず健康な血に変えることができる。 まさに同時相関相補的に連動しているのである。

     

     同じように血液の循環をつけるには、やはり身体運動の相乗効果を必要とする。 運動の主体である身体は、その内側にある筋骨の調整と、外側にある皮膚の鍛錬とを揃えていかなければならない。 皮膚が弱くなると血の流れが悪くなるが、筋肉に凝りができて、骨格が歪んできても、血の流れが悪くなる。 これも同時に皮膚と筋骨を強めることで、血液循環が良くなるのは同時相関相補連動性が働いているからである。 このように 「呼吸」 と 「飲食」 は血の質を良くし、「皮膚」 と 「筋骨」 は身体運動として血の流れをよくするということが理解できると思う。 

     

     そして自己責任の最後は 「精神活動」 である。 これは先に述べたように操体では、健康について、「身心相乗の原理」 という立場をとっている。 精神とは想念、すなわち 「心構え」 のことであり、その心構えを変えただけで、肉体の病気が治っていくことが多い。 もう一方の精神的な病気も、「からだ構え」 を改めただけで、治ってしまうことも多い。 このようにからだと心とは一枚のコインの裏表のように離れることのできない一枚、すなわち一者である。

     

     これを具体的にいうと、もし、「心」 が、怖れ悲しみ、嫉み憎しみ、怒り争い、不平不満などによって暗い感情に陥ってしまうと、その感情がほぼ一瞬にして間脳から大脳以下に伝達して、各内臓や血管に指令を出している自律神経の中枢が攪乱されてしまう。 それはやがて内臓と血管に乱れが起こり、 それが病気となって現われてくる。 

     

     次に、からだの病気のために心の病気が起こるということも理解しておかなければならない。 これも具体的にいうと、肺が堅くなると頑固になり、骨盤が曲がるとひねくれる。 肩が捻じれるとカンシャク持ちになり、頸が堅いと疑い深くなる。 からだの重心が前に傾くと心配性になり、後ろに傾くと傲慢になる。 こういった性格を治したいならば、からだに付いた癖を治す必要があるが、操体にはその矯正にもってこいの 「般若身経」 というからだの使い方・動かし方の実践法が用意されている。

     

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  • あなたに操体・操体法をお薦めする理由 ➀

     操体の創始者である橋本敬三医師が仙台の温古堂で日々の治療として使っていた臨床を 「操体法」 と呼んでいる。 この操体法に橋本医師の思想や生命観といった哲学的な面をも含めたものを広義の意味合いで 「操体と呼んで区別している。

     

     初日の今日は、「操体法」 をお薦めする理由について述べてみたい。

     

     我々の健康に最も影響を与えているのが、ボディの歪みである。 そのボディの歪みは重心が大いに関係しおり、重心で特に問題になるのが、からだの左右の半身どちらかに重心がかかりすぎていることによって、歪みが起こってくることだ。 この歪みというのは、骨格の歪みのことであり、その骨格が歪んでくるのは、骨格筋が偏って短縮したことにほかならない。 

     

     ということは、骨格の歪みだけを直そうとしても、筋肉が骨にくっついて引っ張りあって支えているので、すぐに元の歪んだ状態に戻ってしまうことになる。 すなわち、骨格筋の短縮を直さなければ、ボディの歪みを正すことはできない。

     

     そんな骨格が歪めば、当然、背骨も歪んでくることになるが、それは内臓の働きにも異常を引き起こす。 その内臓に分布している血管の伸縮は、自律神経によって調整されており、内臓の活動そのものを支配しているのもこの自律神経の働きである。 

     

     そのような働きをしている自律神経は、背骨の隙間にある椎間孔という小さな穴から出入りしているので、背骨に歪みがあって神経を圧迫するようなことになれば、内臓への影響を悪いものにしてしまう。 これから言えることは、健康状態を続けていくには、できるだけ歪みの少ないボディを維持することが不可欠である。

     

     その歪みの少ないボディを維持するには、筋肉は柔軟にして、偏った筋短縮がないように留意しなければならない。 また歪みが生じた場合にどこかの整体術でやるような、短縮した筋肉を強制的に伸展させようとするやり方は、明らかに間違っている。 このような方法では痛みや不快感が生じることになり、逆に短縮筋が反発して、より縮んでしまうことにもなりかねない。

     

     筋短縮は一種の凝りであり、これを修復するのに按摩やマッサージ等の手技によって、その部分だけにスポットを当てるような療法であっても、ボディの歪みが解消されることはまずない。 ところが 「操体法」 では、からだ全体を一者と見ており、骨格に付随する全身の関節を自身で動かしながら治療する方法であることから、「自力自療」 と呼ばれている。

     

     具体的にいうと、短縮した筋肉にはそれなりの理由があり、からだにとって必要な反応なのだと、操体法では捉えている。 そのからだの声に耳を傾けることは、短縮筋に対してより一層協力的に縮ませてあげる動きを与えることにある。 この動きを患者自身の感覚に委ねながら、脱力後の感覚まで誘導していく事こそ、操者が果たす責任ある役目なのだ。

     

     また、動かして診るという方法は、カイロプラクティック等でも行っているが、それはモーション・パルペーションというもので、単に関節の可動域を診ることで、関節の変位を判断するのに用いる検査手法である。 これに対して、操体法では検査的意味合いよりも、本人の感覚を重視することが最も重要であるとしている。 何故なら、症状・疾患というのはそれぞれが百人百様なので、個別に対応しなければ、からだの声を聞き逃してしまうからである。

     

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  • 「世間にある意識、空間にある意識」

    現代風なら、「YouTubeばっかり見てないで、勉強しなさい」

     

    例えば、「TVが昔に比べて面白くなくなった」とか話す方がいたと

    しても、昔のような社会に今から戻れるのかと思ったら、それはで

    きませんよね。

     

    現在の便利さを享受する以上、現在の価値観にある程度は会わせて

    いる必要がありますからね。

     

    そもそも、携帯電話を持っていない人でも、インターネットの恩恵

    を受けずに生きていけるのか、といえば難しいと思いますよ、無理

    じゃないですけれども。

     

    ですから、昔は最高だった、といわれるものと世の中の便利さとは、

    直接関係ないと思われるかも知れませんが、ご時世という大衆文化

    だからやっぱり関係あるような気がします。

     

    なぜなら、世の中の意識っていうコトやモノは、感覚に沿って生ま

    れてくるのが大半だからですよね。

     

    全く関係なさそうなモノや事柄を、実際の感覚で受けとることがで

    きるようになれば、それはソレで、生きていくのに不都合が少なく

    なってくるものです。

     

    その意味では「操体・操体法をお薦めする」理由にもなるのです。

     

    ということで、一週間のお付き合い有難うございました。

    明日からは、日下さんの登場です!お愉しみに。

     

     

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  • 「視線と視点と視野の先に」

     見つけ役と目利き役はある、そしてその先にあるのは何だろう。

     

    目の付け所が違うからさ。

    東洋医学系で専門的な勉強を修了し、国家資格を得て安心して

    終わりじゃない。

     

    学校を卒業して、ここまで学問というものが面白いと思えたの

    は初めてだったし、何のためにそれを身につけなければいけな

    いのか。

     

    その理由さえもハッキリするから、僕自身これを手放すことは

    無いと思うよ。

     

    そう言って、からだの使い方・動かし方というものを実際に感

    じてもらいながら、新たに柔道整復師の専門学校に通うことを

    決めた新しいスタッフに、横紋筋系骨格系の神秘性を受けとっ

    てもらいながら、東京操体フォーラムに誘っていたことがある。

     

     

    2021年春季東京操体フォーラム開催
    2021年4月29日(木)昭和の日にオンライン・会場で開催致します。
    テーマ「操体法クロニクルズ2~呼吸とセルフケア特選~(仮)」

  • 「うごきには重さも軽さも、愛もある」  

    なぜだろう、どうしてだろう。

    こんな言葉が、通っていた小学校の実験教室に飾ってあった。 

     

     

    このあいだは上手く効いたけど、今回は全然効かないって言われち

    ゃって、同じようにやったつもりだけど、なぜだろうなぁ、と終了

    後に悩んでいる。

     

    なんでからだを動かして治療できるのか。

    そもそも、からだの外側から手技療法で、いったい何ができるのか。

    その根本的なところを知るのには、良いと思うよ。

     

    そう言って、真面目だけど悩みすぎるし、色々考え過ぎてわからな

    くなっていた新しいスタッフに、東京の三軒茶屋へ一年間の月二回

    通う講習会を紹介したことがある。

     

     

    2021年春季東京操体フォーラム開催
    2021年4月29日(木)昭和の日にオンライン・会場で開催致します。
    テーマ「操体法クロニクルズ2~呼吸とセルフケア特選~(仮)」