「プチ鬱の宏ちゃんと首痛の恒さん」4

さて今度は宏ちゃんの番です。
恒さんと同じように仰向けになりました。

膝裏は左にコリがあります。
このあと何をしたのか又少し忘れました。

確か頭の方に行って肩を触診しました。
私が両手の親指で左右の肩のコリを調べようとしてスッと押したら、「きもちがいい〜!」と宏ちゃん。

「これで気持ちがいいですか?」
「はい」
「ツボに当ってイタ気持ちいいような感じですか?」
「はい、とてもイイ感じです」
「味わっていたいですか」
「はい」
「ではイイ気持ちがなくなるまで味わって、なくなったら教えてくださいねー」
「どこか動かしたいときは動いてもいいですよー」

じっとしていて動く気配のない宏ちゃん。

「あまり動きたくはないみたいですねー」
「では、こうして皮膚をずらしてもらうのはどんな感じですか?」
もっと良くなればいいなと思い欲張る私。
「うえー、したー、そとー、うちー」と皮膚をずらしてみました。

「んんー、じっとしているほうがいい感じですねー」
「はい、ではここの場所でー、これくらいの強さでいいですか?」
「はい、とても気持ちがいいです」

「だんだん気持ちよさはうすれてきてなくなってくると思うので、なくなったら教えてくださいよー、なくならないかもしれないですけど」

「あと押さえている場所を変えてほしいとか強さを弱くしてほしいとかあったらすぐに教えてくださいねー」
「はい」

私は押さえたままからだをもぞもぞ心地よく動かしました。

2〜3分位経ったでしょうか。
硬かったコリが一瞬にしてふにゃっと柔らかく感じてきました。
なので、
「そろそろ気持ちよさも少なくなってきたんじゃないですか?」
と聞いてみました。

「はい、なくなってきましたー」
やっぱりなー、と思いながら私は静かに手を離しました。

「どんな感じでした?」

「いやーすごく気持ちがよかったですー!」

もう一度さらっと触診してみると、さっきより3センチ程上の所のコリに手が止まりました。
「ここはどうですか?」

「そこも気持ちがいいです!」

ということで、同じようにただ押さえていました。

「ただ押さえていた」とは言っても機械的に一定の力で押しつづけてコリをほぐそうなどと考えているのではなく、なんとなく手とコリが何かお話をして楽しく遊んでいるみたいな、そんな不思議な感覚の世界が味わえてくるのでおもしろいです。

手とコリはいったいどんなお話をしているのでしょうね。

さて、気持ちよさがなくなり、肩をもぞもぞ動かしていた宏ちゃんが急に何を思ったか、ひゅひゅーー、ひゅひゅーーとバンザイを始めました。

「あれっ、手が挙がるよー、ほら!」
宏ちゃんが寝て万歳をして大喜びです。

「ええっ、手、挙がらなかったんですかー?」実は知らなかった私。

「はい、肩が痛くてこれくらいまでしか上げられなかったんですー」

「へぇーっ、そうだったんだー、よかったですねぇ」

「ほら、痛くない!」何度もニコニコバンザイを繰り返して見せるびっくり宏ちゃん。

こうなったらもう次の操法なんかいらないのだ。

起きて歩いたり肩を動かしたりしてもらうと、姿勢もスッと良くなっていて、恒さんも嬉しそうでした。

つづく

今昭宏